砦へ還ったスューカがまず心を砕いたのは、ライデルとの真の再会のことだった。
　あの真冬の森の特別な日々を過ごした後で、少将とスューカの関係は大きく変わったのか、変わりはしなかったのか。
「わたしと、正式に養子縁組をしないか？　と……言ったのだ」
「は……………………、はあぁああああああっ？！！」　

自分以外に初めて、やっと、秘めたる想いを明かした少将。しかしスューカ本人にはいつ告るのか、告れるのか？！（笑）
秋の結婚シーズンを目前に、焦って縁談話を詰めだす友人たち。そんな中、少将にも、迷惑千万な縁談話が。さらにセゼルも、結婚をする、と問題発言再び。ラセイもまた、結婚騒動のひとつに巻き込まれることに。それぞれに対するスューカの言行は、あいかわらず常識を超越していて、真意はいったいどこにあるのか――
「どうもこーも。わたしが、セゼルに、本当にそろそろ身を固めろと言ったんだ。――前も言ったと思ったが？」

　鬼気迫る愛の告白。
　燃える少将に対して、スューカは鉄壁の仮面を被り続ける。
　決戦まじかというのに砦の町に忍び寄る、目に見えない危機。
　スューカは砦を、守れるのか。はたして戦に勝てるのか。
　伯は、鼻腔を横に脹らませた。ヌフフ、と意味深に笑って、
「まあ、あなたのこれまでの“交際”が“交際”ですから、玉体まで彼に開いて頂かなくては、形になりませんが」
　そして遂に少将は、怒りに震えて走り出す。
――ずるい……！！　こんな、こんなの、ずるい、皇女様……！！